抗インフルエンザ薬ゾフルーザとは?効果や副作用・耐性ウイルスの懸念などを薬剤師が解説。

 

 

2018年から販売されたゾフルーザというインフルエンザ感染症の薬があります。

 

それまでの抗インフルエンザ薬とは違ったメカニズムで、飲み方も簡単ということからかなり期待された薬ではあるのですが、なぜかこのインフルエンザ特効薬が売り上げが急降下しているそうなのです。

 

一体どういうことなのでしょうか。

 

今回は、抗インフルエンザ薬のゾフルーザについてその概要やメカニズム、また売り上げが急降下している理由などを追及していきます。

 

ゾフルーザとは

 

ゾフルーザとはバロキサビルマルボキシルを成分とする薬で、日本の塩野義製薬株式会社が開発した抗インフルエンザ薬です。

 

A型またはB型のインフルエンザ感染症にかかった患者さんに使います。

 

新しいインフルエンザの薬ということで、薬剤師の皆さんは、他の抗インフルエンザ薬とどこが違うのかが一番気になるところではないでしょうか。

 

他の薬と決定的に違うのはその作用です。

 

他の抗インフルエンザ薬はウイルスが細胞外に広がることを防ぐのに対して、ゾフルーザは細胞内でウィルスの増殖を防ぎます。

 

つまり、細胞内でウィルスを食い止めることができるため、より効果が高いと考えられているのです。

 

また、体内からインフルエンザウイルスが排出されるまでの時間を測った臨床試験では、タミフルが72時間後に排出されたのに対してゾフルーザは24時間後という短い時間で排出されました。

 

このことからも従来の薬よりも優れていることが分かりますよね。

 

そしてゾフルーザは単回経口投与の薬で、錠剤を1回飲むだけで良いという利点もあります。

 

タミフルやリレンザのように複数回投与でないため服用忘れを起こしませんし、また錠剤なのでイナビルのように吸入に失敗するという心配もないということです。

 

 

ゾフルーザの用法・用量

 

ゾフルーザの添付文書によると用法・用量は、

 

通常、成人及び12歳以上の小児には,20mg錠2錠又は顆粒4包(バロキサビル マルボキシルとして40mg)を単回経口投与する。

 

ただし,体重80kg以上の患者には20mg錠4錠又は顆粒8包(バロキサビル マルボキシルとして80mg)を単回経口投与する。

 

通常,12歳未満の小児には、体重が40kg以上の場合には、20mg錠2錠または、顆粒4包(バロキサビル マルボキシルとして40mg)、20kg以上40kg未満の場合は、20mg錠を1錠または、顆粒2包(バロキサビル マルボキシルとして20mg)、体重が10kg以上20kg未満の場合には、10mg錠1錠(バロキサビル マルボキシルとして10mg)投与する。

 

となっています。

 

ゾフルーザを調剤するときには、患者さんの体重にくれぐれも注意してください。

 

ちなみに、服用時点ですが、食後や食前など服用のタイミングが決まっているわけではありませんので、患者さんの忘れない時間に服用していただくことになります。

 

ゾフルーザの副作用

 

添付文書によると、成人及び12歳以上の小児を対象とした臨床試験における安全性評価対象例910例中,臨床検査値の異常変動を含む副作用は49例(5.4%)に認められました。

 

その主なものは,下痢12例(1.3%),ALT(GPT)増加8例(0.9%)だったそうです。

 

12歳未満の小児を対象とした臨床試験における安全性評価対象例105例中,臨床検査値の異常変動を含む副作用は4例(3.8%)に認められました。

 

主なものは,下痢2例(1.9%)と報告されています。

 

重大な副作用としては、ショック,アナフィラキシー(頻度不明)、異常行動(頻度不明)、出血(頻度不明)、またその他の副作用として、過敏症(頻度不明:発疹,蕁麻疹,そう痒,血管性浮腫)、精神神経系(1%未満:頭痛)、消化器(1%以上:下痢,悪心)消化器(1%未満 :嘔吐)、その他(1%未満:ALT(GPT)増加,AST(GOT)増加)と書いてありました。

 

抗インフルエンザ薬と言えば、小児の異常行動が知られていますよね。

 

小児患者さんやその親御さんに服薬指導する場合は、この異常行動を対処できるように、説明しておくことが必要です。

 

ただし、必要以上に怖がらせて、薬の服用を拒否されてしまっては元も子もありませんから、説明は十分に気を配って行ってください。

 

説明事項としては、異常行動が小学生以上の男性に多いこと、また発熱から2日以内にみられることが多いということを伝え、事故を起こさないように注意するといいと思います。

 

ゾフルーザのメカニズム

 

他の抗インフルエンザ薬は、インフルエンザウイルス表面に存在する酵素、『ノイラミニダーゼ』を阻害することで細胞外に広がることを防いでいました。

 

それに対してこのゾフルーザは、インフルエンザウイルス特有の酵素、『キャップ依存性エンドヌクレアーゼ』に作用し、インフルエンザウイルス遺伝子からの転写反応を阻害します。

 

その結果、インフルエンザウイルスの増殖を抑制することができ、細胞外に出てくるを元から断つ作用が期待できるのです。

 

細胞の増殖事態を防ぐことができるゾフルーザは、従来の抗インフルエンザ薬に比べて強力なことがこのメカニズムからも分かりますよね。

 

ゾフルーザの売り上げが急降下しているのはなぜ?

 

従来の抗インフルエンザ薬に比べて、強力で飲みやすいし、1回の服用で良いなど、良いこと尽くめのゾフルーザですが、今期の売り上げが前期の96%の減っているという情報があります。

 

2018年の10月から12月では、使われている抗インフルエンザの47%がゾフルーザであったのに、2019年の10月から12月では、それが11%になってしまっているというのです。

 

なぜなのでしょうか。

 

その大きな原因は、『耐性ウィルスに対する懸念』だと言われています。

 

耐性ウィルスとは、薬によって攻撃しているウィルスが、その薬よりも強く変化してしまい、薬に耐性を作ってしまったウィルスのことです。

 

院内感染としてよく問題になる耐性菌については、知っている人も多いと思いますが、耐性ウィルスは、そのウィルス版だと理解してください。

 

耐性ウィルスには薬が効きにくくなってしまいますので、それにかかってしまうと症状が重く長引いてしまうことが心配されます。

 

臨床試験の結果によると、ゾフルーザはこの耐性ウィルスを高い割合で出現させてしまうようなのです。

 

特に12歳未満の小児ではこの耐性ウィルスの出現率は高いそうです。

 

そうなると、医師もゾフルーザを処方することに消極的にならざるを得ませんよね。

 

案の定、日本小児学会は、「ゾフルーザの積極的な投与は勧めない。」ということを今シーズン決定しました。

 

また、日本感染学会も、12歳未満の小児にはゾフルーザを慎重投与するように提言しているそうです。

 

ただ、今シーズンに流行しているH1N1型では、ゾフルーザの耐性ウィルスが検出された患者さんは0.2%のみで、昨シーズンの2.3%を大幅に下回っている事実もあります。

 

既存の抗インフルエンザ薬であるタミフルやラピアクタで耐性ウィルスが検出された患者さんは1.6%なので、この数字に比べてもゾフルーザの耐性ウィルス発現率はかなり低いと言えるのではないでしょうか。

 

この結果を受けて、今後ゾフルーザの処方がまた増加するかもしれませんよね。

 

まとめ

 

今回は、抗インフルエンザ薬であるゾフルーザについて見てきました。

 

ゾフルーザと既存の抗インフルエンザ薬との違いや、効き目は強くても耐性ウィルスに対して懸念があることなどが分かったのではないでしょうか。

 

インフルエンザの致死率は0.001%未満と言われとても低いですが、70歳以上の高齢者ではそれが、0.03%に上がります。

 

死に至らなくてもインフルエンザにかかれば高熱や関節痛でとても辛い思いをしますよね。

 

ゾフルーザが既存の抗インフルエンザ薬に比べて効果的で、高熱などの苦しみから早く救ってくれるのなら、多くの人に使っていただきたいというのが正直な気持ちです。

 

耐性ウィルスの問題が少しでも早く解決することを願っています。

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