DI業務とは?~仕事内容を分かりやすく解説~
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DI業務とは何をする仕事なの?
DIとは、Drug Informationの略であり、医薬品情報のことです。企業や病院で医薬品情報の管理をすることをDI業務と言います。「学術」と呼ばれることもあります。
医薬品には、さまざまな種類があり、莫大な情報が溢れています。医師や薬剤師も、全ての情報を網羅しているわけではありません。
DIの業務は、医薬品の最新情報を収集、整理して、医療関係者へ迅速に情報提供することです。
以下、①情報収集・管理②医療関係者への情報提供③問い合わせへの対応の3つに分けて、DI業務の内容を解説します。
①情報収集・管理
DI業務の重要な仕事として、医薬品に関するあらゆる情報を収集し、適正に管理することが求められます。
薬については、副作用や相互作用などの安全性の情報や、使用方法なども詳しいデータを集めて分析します。さらに、国内のみならず海外のデータや、論文や文献などの情報も収集しておく必要があります。
医薬品添付文書の改訂は頻繁に行われ、厚生労働省から「イエローレター」と呼ばれる緊急安全性情報や、「ブルーレター」と呼ばれる安全性情報が発表されることもあります。
情報は毎日変化しているので、常に最新の情報を分析しておくことは容易ではない作業です。
②医療関係者への情報提供
DI業務では、集めた情報を迅速に医療関係者に伝えなければなりません。
DI業務担当者のミス伝達で、重大な医療事故にも繋がる可能性があるので、正確性は欠かせません。
収集したデータを正確に分析し、それを必要としている医師、看護師、薬剤師などにタイムリーに分かりやすく伝えることが大切です。
新しい情報について、注意喚起が必要な場合や、重要なお知らせなどに関しては、資料やリーフレットを作成して勤務先の医療機関に郵送することもあります。
③問い合わせへの対応
DI業務で欠かすことのできないのは、問い合わせへの対応です。医療従事者から、一般の患者さんまでの幅広い方からの質問に応えなければなりません。
中には緊急を要する問い合わせもあり、医薬品のエキスパートとしての能力が求められます。
DI業務では、医薬品情報の「頭脳」的な役割を果たしていますが、伝達の際には、わかりやすい簡単な言葉で説明する配慮が欠かせません。
DI業務でのやりがいは?
薬剤師としてDI業務に携わることは、情報の最先端にいることです。そして、それは医療従事者だけでなく、すべての人を支えることが出来ることでもあります。
新薬は日々開発され、毎日情報もアップデートされます。その溢れるデータの中から、正確に必要な情報を分析し、提供することで、医薬品情報のプロフェッショナルとしての必要性を感じられるでしょう。
自分がリサーチして提供した情報で、患者さんを救うことが出来れば、やりがいも達成感もある仕事です。
DIを担当していたからこそ、かけてもらえる感謝の言葉もあります。自分が柔軟に新しい情報を提供したことで、患者さんの症状が改善したときは、医療者としての充実感も達成感も味わえます。
薬剤師でDI業務に向いている人は?
DI業務では、膨大なデータを取り扱います。それを正確に分析できる緻密な性格な人が向いているでしょう。依頼される仕事内容は毎回違うため、それに対応できる柔軟さも必要です。
また、せっかく収集して解析した情報が、翌日には全く使い物にならないという場面にも遭遇します。そのような時にも常に前を向き、向上心を持って取り組むことができるポジティブな性格の人にも合う仕事だと言えます。
取り扱う情報量は、一般の薬剤師とは比べ物になりません。正確性、専門性がより求められ、人の健康を左右する立場であることをしっかりと自覚できる人にはお勧めの仕事です。
英語の文献や論文も解析することがあるので、英語が得意な人にも向いています。
薬剤師のDI業務の年収は?
医療機関の場合
病院などの医療機関に勤務している場合、DI業務はある程度経験を積んだ人が担当することがほとんどです。
その人の経験年数などにもよりますが、年収は350万円~600万円です。大幅な年収アップは見込めません。
DI担当者として働くメリットは、医薬品にとても詳しくなれます。また、治験などの分野にも転職しやすくなります。
その一方で、デメリットとして、医薬品の知識が偏ってしまうことや、調剤のスキルが身につかないなどが挙げられます。また、人数が少ない部署であるため、個人の責任が重くなりがちです。
製薬会社の場合
企業に勤める薬剤師でDI業務に従事している場合の平均的な年収は400万円~600万円です。
調剤薬局やドラックストアに勤務する薬剤師よりも低めの年収です。しかし、ほぼデスクワークであり、残業がほぼ無く、土日休みなどが魅力と感じる人も多いようです。
まとめ
DI業務は、普段は表に出てきませんが、陰で医療を支える「縁の下の力持ち」の役割を果たしています。
DIが正確な情報を提供してくれるおかげで、医療現場も適切に医薬品を使用することが出来ます。
インターネットが普及している現在、必要な情報は直ぐに手に入ると勘違いされがちです。しかし、正確な情報を裏付け、分析して、整理してくれる人がいるからこそ、医療従事者が安心して医薬品を使用することができるのです。