薬剤師の夜勤・当直は大変?仕事内容は?メリットとデメリット・注意点や実態を解説。
薬剤師の当直業務というとどのようなイメージがあるでしょうか。
「夜働かなければいけないので体に負担がかかる」、「一人で薬剤部に残り不安を感じながら働かなければいけない」などあまり良いイメージがないのではないかと思います。
薬剤師の間では小規模の病院よりも大規模病院の方が人気があるものの、規模が大きな病院ほど当直業務が行われている傾向があるため、「大きな病院で働きたいけれど当直業務だけはしたくない」と悩んでいる薬剤師も中にはきっといますよね。
当直業務は本当に大変で負担がかかることばかりなのでしょうか。
今回は、当直業務の内容や当直のメリットとデメリットなどについて見てきます。
Contents
当直の仕事内容
当直の薬剤師が行う主な仕事は、入院患者さんや救急で運ばれた患者さんに夜間に処方された薬を調剤したり注射剤を準備したりすることです。そのほか、病棟からの夜間に質問があった時に回答するという仕事もあります。
当直と聞くと、夜から朝にかけてずっと仕事をし続けなければいけないと思っている人も多いのではないでしょうか。
当直がある病院に勤めると体力的に疲れないかどうかが心配だという人は、きっと長時間仕事をし続けることに対して不安に思っている部分もあると思います。
急に容体が変わってしまった患者さんや救急の患者さんが多いときには、当直の仕事はとても忙しくなることは確かなのですが、実は落ち着いている夜は比較的余裕があり、休みを取りながら仕事ができる日もめずらしくありません。
病院によっても違いますが、当直室にベッドやシャワーがついている薬剤部もありますし、テレビを見られるようになっているところもありますから、業務を必要とされるまではリラックスして待つことも可能です。
始めて当直を経験した薬剤師の中には思ったよりも快適だったという人もいるくらいです。
ただし、当直はだいたい一人でこなすことがほとんどですので、自分が調剤した薬や準備した注射剤の監査は自分自身がしなければならず、いつも以上の注意力と緊張感を持って業務にのぞむことが必要になります。
また、病棟からの質問への回答も、それが合っているかどうかを他の人に確かめることができませんので、全てにおいて自分の責任の下行う必要があることから、肉体的というよりは精神的に疲れを訴える人も少なくありません。
薬剤師の当直のメリット
次に、薬剤師が当直をするメリットについて見ていきましょう。
<収入が高くなる>
まず、メリットとして多くの薬剤師が挙げるのは収入が増えるということです。
当直をすると、時間外手当がつくだけでなく、当直手当も加えられるため昼間働くよりも効率的に収入を増やすことができます。
当直が多かった月は手当が基本給と同じくらいになったということもあるくらいなので、いかに当直が収入を高める要素になっているかが分かるのではないでしょうか。
病院薬剤師は、調剤薬局やドラッグストアに比べて一般的に収入が低めですので、当直で稼げるというのはかなり嬉しいことですよね。
<次の日に休める>
当直が無事に終わった次の日は、朝からお休みをもらえる薬剤部が非常に多いです。
これから出勤する人と朝すれ違いながら自分だけ家に帰っていると、なんだか特別な気分になるのではないでしょうか。一生懸命働いた後のお休みですから達成感や満足感もあるに違いありません。
また、平日に休めることはあまりないので、当直の次の日に平日にしかできないことをして有意義に過ごす人もいます。
しかし、病院によっては次の日の午前中までは他の薬剤師と同じように働き、午後からお休みをもらえるという薬剤部もあります。
待遇は病院によって大きく変わってきますので、気になる方は就職前に確かめることをおすすめします。
<薬剤師として成長できる>
先ほどお話した通り、当直は通常一人でやるものです。
病床数の多い大学病院などでは調剤部門と注射部門の二手に分かれて2人の薬剤師が当直することもありますが、これはとてもめずらしい例だと思ってください。
一人で薬剤師業務をこなさなければならない環境は、当直でしか味わえない緊張感があり、何とか自分で解決しようという独立心が身に付きます。
新人薬剤師が当直を始めると驚くほど成長することがありますが、これはだれにも頼れない環境で自分で判断する力を身につけた結果です。
薬剤師の当直のデメリット
ここからは多くの人が懸念するデメリットについてです。
<他の薬剤師に頼ることができない>
他の薬剤師に頼れない環境は、薬剤師として成長するチャンスになることをメリットのところでお話ししました。
しかし、これがデメリットになってしまう場合もあります。
これは実際にあった話ですが、当直中に看護部から質問されたことに対しての回答が明確ではなかったため、看護部からクレームが来たということがありました。
他の薬剤師がいれば分かる人に聞くことができたのでしょうが、その時は新人の薬剤師だけが当直していたので、きちんとした回答を看護部に渡せない結果となってしまったのです。
病院の仕事はほんの少しの勘違いが大きなミスを引き起こすこともあります。
理想的には質問の回答は2人以上で確認をするのが良いのでしょうが、当直では物理的にそれができないため、質問に回答するだけで大きな精神的負担が伴うことが少なくありません。
ただし、このような問題も場数を踏むことによって慣れていくことができますので必要以上に心配しなくても良いと思います。
<生活のリズムがくるってしまうことがある>
当直の日は、一日中起きていなければいけない状況の時もあることから体内時計がくるい、その結果生活のリズムが乱れてしまう例もよくあります。
当直業務に対して一般の人が大変だと思う大きな理由は、この生活のリズムの乱れではないでしょうか。
生活のリズムが乱れると自律神経のバランスまで崩れてしまい、不眠症を引き起こしたりめまいなどの体調不良を招いたりすることもありますから注意が必要です。
患者さんの健康を守るべき存在である薬剤師が、自分の体調を崩してしまっては元も子もありませんよね。
薬剤師の中には、体調をできるだけ崩さないようにするため、ジムや運動サークルに所属して体力をつける人もいます。
24時間体制で薬局を稼働させるのは大変で、薬剤師に大きな負担をかけてしまうことは事実ですが、自分の健康を守るための工夫をしながら精一杯患者さんに貢献している薬剤師が大勢いるのです。
まとめ
今回は、薬剤師の当直の仕事内容やメリット・デメリットについて見てきました。
病院に就職する際に、多くの薬剤師が敬遠する当直業務ですが、メリットも多く経験する価値があるものであることを感じていただけたのではないでしょうか。
当直業務は確かに大変な仕事ですが、薬剤師一人一人が負担を背負い精一杯働いているからこそ助かる患者さんも多いと言えます。
当直業務のある病院への転職を躊躇してしていた薬剤師が、この記事に書かれた当直のメリットなどを読んで当直業務に少しでも興味を持っていただけたら幸いです。