動物に関わる薬剤師の仕事は? 動物薬剤師の仕事内容とは?
動物のお医者さんがいるように、動物の薬剤師も少ないながら存在しています。
薬剤師の中には、動物が大好きで薬剤師のスキルを動物のために役立てたいと思っている人もいるのではないでしょうか。
しかし、動物に関する薬剤師の仕事の求人はとてもめずらしく、求人を探すのも難しいため、動物の薬剤師になりたいけれど実際にどうやってなったら良いのか分からないというのが正直なところですよね。
今回は、動物に関わる薬剤師の仕事やどのように求人を見つければよいかをご紹介していきます。
Contents
動物の薬剤師が必要になってきている
近年動物は、ペットとしてではなく家族同様に扱われるようになってきました。
ペットが亡くなったときにかかるペットロス症候群は、ときには家族がなくなった時よりも人に大きな悲しみを与えることもあるほど、動物が人間に与える影響は計り知れないそうです。
動物病院で、余命少ないペットの犬に対し、高額医療をこれ以上続けるかどうかを獣医師と話し合っている家族を見たことがありますが、奥様が取り乱して泣いているのは見るだけでも胸が痛みましたし、彼らにとってペットがいかに大事かどうかが手に取るように分かりました。
ペットを飼っている人たちの多くは、家族の一員であるペットに少しでも長生きしてもらいたいと願っています。そのため、人間と同じレベルの質の高い医療を求め、投与する薬に対してもより安全に投与されることを望んでいるのです。
このような背景から、動物の医療の分野において薬剤師の知識やスキルが必要な場面が以前に比べて増えてきています。
動物に関われる薬剤師の仕事とは
それでは実際に動物に関わる薬剤師の仕事はどんなものがあるのかを見ていきましょう。
1)動物病院の薬剤師
通常小さな病院や個人の動物病院などでは獣医師が調剤業務を行いますが、規模の大きな動物病院では、薬剤師を募集することがあります。
仕事内容は、動物に処方された薬の調剤や投薬業務が中心です。
ただし、人間に投与される薬と同じものでも動物に使う場合は用量が少ないなど、一般的な薬局に勤務する薬剤師とは違う知識が必要になるため、動物においての薬について新たに勉強することが必要になります。
たとえば、リフレックスとして知られるミルタザピンは人間用にも動物用にも使用される医薬です。
人間では一日15mgを鬱や自律神経失調症、不眠などに用いますが、猫においては食欲増進や吐き気止めとして3.75mgという少用量を48~72時間ごとに投与します。
このように、人間と動物では投与に必要な量も投与間隔も違ってきますので、安全かつ効果的に医薬品を使用するため、薬剤師の専門的な知識が必要になってくるのです。
動物用品の店舗
薬剤師の知識を動物に活かせる場所は病院だけではありません。
動物用品の店舗には、ペット用の薬を取り扱っていることがありますので、薬剤師としての専門性を発揮する機会が多いことが考えられます。
このような店舗で活躍するには、ペットに元気になってもらうことはもちろんのこと、飼い主にも安心してもらえるように服薬指導しなければいけませんので、薬の知識だけでなくコミュニケーション能力も必要不可欠です。
動物医薬品メーカー
医薬品を取り扱うメーカーでは必ず管理薬剤師を雇用することが必要ですが、動物医薬品のメーカーも例外ではありません。
動物医薬品の品質管理やDI業務をするための管理薬剤師が動物医薬品メーカーに常駐していますので、薬剤師の資格を動物に活かせる仕事の一つとして考えられるでしょう。
この仕事は、動物に直接接することはほとんどありませんが、動物病院からの問い合わせに答えるなど、動物の健康を陰で支える仕事になります。
動物医薬品検査所
動物医薬品検査所は、農林水産省にあり、動物医薬品の開発、製造(輸入)、流通及び使用の各段階にわたり、その品質確保等を図るための審査・検査・指導を行っているところです。
動物用医薬品は、疾病の治療だけでなく疾病の診断、予防にも使用されますが、その動物用医薬品の製品の有効性や安全性をチェックするのが動物医薬品検査所の主な仕事です。
動物医薬品以外にも医薬部外品、医療機器及び再生医療などの安全性も確認します。
また、狂犬病やサルモネラ症等の人畜共通伝染病の防止を行うことで公衆衛生の向上にも貢献しています。
動物医薬品検査所の仕事は、薬剤師の国家試験が必須ではないのですが、医薬品を開発したり有効性・安全性を確認したりするうえで薬剤師のスキルや考え方を役立てることができるでしょう。
動物の薬剤師になるために必要な素質とは
動物の薬剤師に必要な素質は、やはり動物が好きであることではないでしょうか。また、病院など直接動物と接する場合は、動物が好きという要素に加えて動物に好かれる要素もとても重要です。
ただし、いくら動物が好きで動物から好かれる人であっても、動物の毛のアレルギーやのみのアレルギーがある場合には仕事を続けること自体が難しくなるため、そのような可能性が考える場合には転職を決める前にぜひアレルギー検査を受けておくことをおすすめします。
また、動物の薬剤師には、飼い主の気持ちを理解することも時には必要になります。ペットが病気の時の飼い主の不安な気持ちをケアすることも薬剤師の大切な仕事なのです。
動物の薬剤師の求人を見つけるには
動物の薬剤師の求人は非常にめずらしいので、求人自体を見たことがないという薬剤師も多いと思います。
雇用する職場が少ない上に、雇用人数も少ないため、動物の薬剤師として働きたいのに求人を見つけられずにいる薬剤師も意外といるのではないでしょうか。
このような希少な求人を見つけるには、転職活動においてのあらゆる方法を同時に行う必要があります。
インターネットでの継続的な検索はもちろんのこと、ハローワークの求人も重ねてチェックしましょう。
また、転職エージェントに登録し、担当コンサルタントに動物の薬剤師になりたい旨を伝えておくことも、求人が見つかる可能性を高めてくれます。
転職エージェントには公開求人のほかに未公開求人というものもあり、転職エージェントだけに存在する求人も少なくありませんので、タイミングさえよければ動物の薬剤師の求人がスムーズに見つかるかもしれませんよ。
まとめ
今回は、動物の薬剤師についての薬剤師の仕事や求人の見つけ方について見てきました。
動物の薬剤師の仕事が存在しているということや、その仕事内容は職場によって多岐にわたるということ、また少ない動物薬剤師の求人をどのように見つけていけばよいのかなどが分かったのではないでしょうか。
私たちは薬科大学で人間のための医薬品を学び、人間を助けるために薬剤師になりましたが、その知識やスキルは動物を救うためにも役立ちます。
また、動物を救うことはその飼い主をも救うことになります。動物薬剤師になるのはとても狭き門ですが、動物が大好きで動物を助けたいと思っている薬剤師は諦めずトライしてください。
2020/04/26