OTC 薬剤師とは?~仕事内容について解説~
薬剤師はもともと、病院や調剤薬局など専門的な勤務先が主流でした。
しかし現在は病院などに勤める薬剤師のほかに、ドラッグストアのような市販薬を専門に取り扱うOTC薬剤師として勤務することのほうが多くなってきています。
この記事では、OTC薬剤師とはどういった職業なのか、役割や仕事内容について説明します。
Contents
OTC薬剤師とは?
まずは、OTC薬剤師という職業について簡単に説明していきます。
そもそもOTC薬剤師の”OTC”(Over The Counter Drug)とは、一般用医薬品としてドラッグストアやスーパーなどで売られている薬のことです。
一般用医薬品は、日常的に起こりうる軽い体調不良に対して、病院や医師の指示を受けずとも、自らの判断で薬を服用するために販売されています。
つまり、OTC薬剤師はそんな一般用医薬品”OTC”を専門的に扱う薬剤師です。
OTC(一般用医薬品)の意味・役割は?
OTCは、心身のどこかに不調が出た際や、自主的に健康状態を保つための”セルフメディケーション”における大きな役割をもっています。
平成に、セルフメディケーションへの関心や役割は大きく上昇しました。
WHO(世界保健機構)によってセルフメディケーションの定義が決まり、自分の健康は自分で管理する責任を持ち、軽い体調不良は自分で手当てをすることとされています。
それに伴って、日本でもセルフメディケーションの後押しとして対象のOTCを購入すると、条件を満たすことにより医療費控除が受けられるようになりました。
このことからも、OTCの役割は着実な成長を続けていることや、OTC薬剤師という職業の必要性や安定性がこれからも伸びていくことが期待されています。
OTC薬剤師の役割は?
OTC薬剤師の役割①OTCを正しく服用するためのサポート
OTC薬剤師の大きな役割の1つとして、正しく服用するためのサポートが挙げられます。
OTCは、誰でも簡単に手に入れることができますよね。
専門的な知識や許可がなくともすぐに服用できるうえ、軽い病状であれば抑えられます。
しかしその一方で、医薬品に対して本来は抱いていたはずの”危機感”が、生活する人々から徐々に薄れてしまっていることも事実です。いくら市販で売られているとはいえ、”薬”という事実には変わりありません。
薬には副作用や依存性、中毒性、危険性が付き物です。そして薬は、その人の体や不調に合ったものを、正しく服用することを前提として販売されています。
また、例えば頭痛薬だけでも何種類も販売されていますが、利用者はそれぞれの頭痛薬の何がどう違うのか分からないことも少なくありません。
OTC薬剤師には、利用者ひとりひとりに合ったOTCを正しく服用できるように促す役目があります。
OTC薬剤師の役割②利用者の相談相手
病院で処方された医薬品は、医師や薬剤師の指導を受けたうえで飲むことができます。
しかし、OTCの場合は自主的に「体の不調を治すための薬を買おう」と行動を起こし、医薬品を購入しますよね。それは、専門家の指導を受けずに服用するということです。特に、高齢者など頼れる相手がいない人の場合は相談すらできない場合も少なくありません。
ドラッグストアは医薬品だけでなく、サプリのような健康食品や日頃のケアをするための日用品まで多く揃えられている場合が多いです。そして勤務するOTC薬剤師は、だれもが気軽に相談できる専門家、そしてセルフメディケーションのサポート役としての役割があります。
そのためにも、あらゆる体調・体質や症状、常用薬との飲み合わせに合わせて正しく判断する必要があります。たとえば、薬それぞれの特徴や成分についての知識だけでなく、健康をサポートするための知識が必要です。
3.OTC薬剤師の仕事内容は?
OTC薬剤師としてドラッグストアに勤めた場合の仕事は、大きく分けて4つです。勤務先の企業によって多少の差はありますが、主な仕事内容について説明していきます。
OTC薬剤師の仕事内容①医薬品の販売
医薬品の販売は、OTC薬剤師としてドラッグストアに勤務した際に必ず任されることになる業務です。
薬のパッケージなどに書かれているのを見たことがあると思いますが、OTCは「第一類医薬品」「第二類医薬品」「第三類医薬品」の3種類に分類されています。
この三種類のうち、薬剤師が対応するものは「第一類医薬品」と「第二類医薬品」です。「第二類医薬品」には風邪薬などが当てはまりますが、こちらは薬剤師以外の店員も対応できます。しかし、「第一類医薬品」はOTC薬剤師が店頭にいないと販売することも購入することもできません。
利用者が「第一類医薬品」を買い求めに来た際には、OTC薬剤師がカウンターに立ち、その医薬品について正しい使用方法などの指導や説明をしたり、アドバイスを行います。
「第一類医薬品」への対応や販売は、OTC薬剤師にしかできないとても大切な業務です。
OTC薬剤師の仕事内容②調剤業務
調剤業務は、「調剤併設型ドラッグストア」と呼ばれるお店に勤務した場合に発生します。「第一類医薬品」の販売と同様に、OTC薬剤師にしかできない大切なお仕事です。以前はあまり見かけなかった調剤併設型ですが、近年増え続けています。
こちらの業務は店舗によって異なりますが、調剤業務があるのとないのとでは仕事内容に大きく差が出ます。自身の好みや目的に合わせて、確認しておくとよいでしょう。
OTC薬剤師の仕事内容③レジ・品出し
OTC薬剤師としてドラッグストアに勤務すると、通常の販売店員と同じようにレジ対応や品出しを行うことも多いです。
調剤業務と同様にお店によって異なりますが、この場合は医薬品関係だけではなく、その他の日用品や食品類の対応をすることになります。お店によっては、レジ対応と品出しがメインの仕事内容になってしまう場合もあるようです。
こちらも、勤務する前にあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
OTC薬剤師の仕事内容④カウンセリング
カウンセリングは、OTC薬剤師にしかできない大切な仕事のひとつです。
医薬品についての知識はもちろんのこと、あらゆる体質・体調や症状、病気について広く深く理解しておいたうえで対応する必要があります。
OTC医薬品を買い求めに来た利用者や、健康面に関する悩みなどをかかえた利用者の状況を聞いて正しく判断しなければいけません。たとえば、OTCでは改善されない病気の可能性がある際には「この場合は病院に行った方が良い」と勧めることも大切です。
まとめ
高収入で、大手の会社が多いため職場選びに悩みづらいとされているOTC薬剤師。
特にこれからの現代社会において、セルフメディケーションのサポート役としてとても将来性のある職務といえます。しかし、薬剤師である以上それなりの責任があるのも事実です。病院や調剤薬局よりも少し気楽なのではと思われがちですが、業務も多く通常の販売店員として来店者への対応も求められます。そのため、慣れるまでは大変な仕事といえるでしょう。
医薬品だけでなく、利用者の声を直接聞くことができるうえ、コミュニケーションや接客についての経験も積めるため、「人と接することが好き」という方や「やりがいのある仕事がしたい」という方が活躍できるような職業です。