調剤過誤とは?過誤を防ぐためにできること

 

 

調剤業務で薬剤師が一番恐れていることと言えば、調剤過誤を起こして患者さんに健康被害を与えてしまうことです。

 

患者さんにご迷惑をかけないようにするため、調剤に携わっている薬剤師全員が、毎日身を引き締めて仕事をしています。

 

その一方で、「緊張に満ちた状態で調剤してはいるものの、人間のしていることなので、どうしても過誤をゼロにするのは難しい」と悩む薬剤師も実際に多いのではないでしょうか。

 

そのことで薬剤師の仕事に大きなストレスを感じている人も中にはいますよね。

 

このように精神的負担が多い薬剤師の仕事ですが、人間のしてしまうミスをゼロに近づけ、負担を軽減するために薬剤師たちは業務内でいろいろな工夫もしています。

 

今回は、調剤過誤の種類やそれを防ぐための努力についてお話していきます。

 

 

過誤にはどんな種類がありますか?

 

調剤過誤には計数調剤過誤と計量調剤過誤があります。

 

計数調剤過誤は、錠剤や外用薬、また一包化された薬など、数を数えて調剤するうえでのミスです。

 

たとえば、錠剤の数え間違え、違った名前の薬剤の取り間違え、違ったmg数の薬剤の取り間違えなどが考えられます。

 

それに対して計量調剤過誤は、散剤や水剤、軟膏など、量を測りながら調剤するうえで起こるミスのことです。

 

起こりうる過誤として考えられるのは、用量の測り間違え、薬包紙などへの患者さんの名前の印字間違え、薬剤のボトルの取り間違え、薬剤の充填ミス、力価計算の間違えなどです。

 

このように処方箋を一枚調剤するのに、いろいろな過誤が起こる可能性があることが分かるのではないでしょうか。

 

これらの過誤を起こさないためにさまざまな工夫を薬剤師たちはしているのですが、それについては次の項目で説明します。

 

計数調剤過誤を起こさない工夫

 

<PTPシートの数をそろえる>

 

薬がヒートシールされたシートのことをPTPシートと呼びますが、通常は数が数えやすいように1シートに10錠ずつセットされています。

 

ですが、一週間単位で調剤することを考えて、1シートに14錠ずつセットされたウィークリーシートも中にはあります。

 

もし、10錠のシートだと勘違いをしてウィークリーシートで調剤してしまったとすると患者さんに過剰の薬を手渡してしまうことになりますよね。

 

こうしたことが起きないように、薬局内で扱うPTPシートを10錠シートのみもしくはウィークリーシートのみで合わせ、勘違いを防いでいる薬局もあります。

 

<調剤台をきれいに保つ>

 

調剤をする際に使用する調剤台は非常に汚れやすいです。

 

放っておくと錠剤が包まれているアルミパッケージや薬を束ねてあるビニール、配達された薬が入っている段ボールや箱で調剤台がいっぱいになってしまうこともめずらしくありません。

 

この状態で調剤をすると、捨てるはずアルミパッケージを薬のシートだと勘違いしてしまうなど、計数調剤過誤を招く可能性を高めてしまいます。

 

また、薬局からもらった薬の中にゴミが入っていたとしたら、たとえ過誤が起こっていなくても患者さんに嫌な思いをさせてしまいますよね。

 

そのようなことを防ぐため、調剤台のところどころにゴミ箱を設置するなど、調剤台をきれいに保つ努力をしています。

 

<調剤棚の表示を変える>

 

間違えやすい薬品名のときや、一束の数がユニークな薬があるときは、調剤棚の表示を工夫している薬局もあります。

 

たとえば、薬剤名の隣に「●●と間違いやすいから注意!!」と表示したり、「この薬は一束15包入りです!」と注意書きをしたりという感じです。

 

忙しい中で調剤しているときに、気をつけなければいけないポイントが分かり助かった経験のある薬剤師も多いのではないでしょうか。

 

<病院の場合は処方箋の印字を変える>

 

調剤薬局では、病院や診療所などですでに処方箋が発行されているためできませんが、病院の薬剤部では医師からの処方箋を薬剤部で発行する際に印字を変えることができます。

 

たとえば、間違いやすいメルカゾールとメチコバールですが、

 

表記を、「めるかぞーる」、「Methycobal」として処方箋に印字しておけば薬をピッキングする際に気を付けるきっかけになることが分かりますよね。

 

間違えやすい医薬品の印字変えることで、「間違いやすいから気を付けなければ」と薬剤師に思わせる効果があるということです。

 

 

*万が一間違えてしまったときのことを考えた工夫

 

間違わないような工夫をしていても、人間だから間違えることもある―――

 

ならば、万が一間違えてしまったとしても患者さんの被害を少しでも小さくするための最大限の努力をしておくべき。

 

このような考えから生まれた工夫もあるので紹介しておきます。

 

<mg数の低いものを調剤棚の上段に置く>

 

同じ薬剤でmg数が違う錠剤が数多くありますが、その場合はmg数の低いものを上段に置くようにしています。

 

何故だか想像できましたか。

 

もしもmg数が高いものを上段においてそれが何かのきっかけで下の段のmg数が低い薬剤の棚の中に落ちてしまい、それを気付かずに調剤してしまうことを考えてみてください。

 

具体的には10mg服用するはずの患者さんが、20mg服用してしまうということですから、過剰投与になりとても危険なことが分かりますよね。

 

mg数の低いものが高いものの方に落ちても、過剰摂取による健康被害だけは防げるということで、mg数の低いものを上段、高いものを下段に置くようにしています。

 

<調剤棚に薬効順に並べる>

 

薬局によっては調剤棚の薬をあいうえお順にならべているところもありますが、万が一取り間違えをしてしまうことを考えて薬効順に並べている薬局も非常に多いです。

 

たとえば、棚を一つ間違えて隣の薬をピッキングしてしまったとします。

 

あいうえお順に並んでいると、たとえば抗生物質をとろうとして隣の血圧の薬をピッキングしてしまうことも考えられるわけです。

 

高血圧ではない患者さんに降圧剤を投与することは、血圧を過度に低下させる恐れがあり危険ですよね。

 

万が一取り間違えをしてしまったとしても、風邪薬は風邪薬で、血圧は血圧の薬で近くに置いておけば、全く違う効能の薬を飲ませてしまう可能性は低くなります。

 

もちろん取り違えは絶対に起こしてはならないことですが、薬局では万が一のことを考えて患者さんの被害を最小限にする対策をとっているということです。

 

計量調剤過誤を起こさない工夫

 

次に計量調剤過誤を防ぐ努力について見ていきましょう。

 

<バーコードを利用する>

 

これは散剤の調剤時によく利用されることが多いです。

 

コンピューターにバーコードを読み取らせて、処方薬と合わないと計量ができないシステムになっています。

 

このシステムですとたとえ散剤瓶の取り間違えがあったとしても、計量する前に分かりますから薬剤師側も安心して調剤ができますよね。

 

<充填の際には必ず2人で確認する>

 

散剤においてもう一つ間違えやすいのは充填時に他の薬を入れてしまうことです。

 

瓶の表記は胃薬なのに、中に間違えて解熱剤をいれてしまっていたらと想像してみてください。

 

もし粉の色が同じであったら、瓶に入れてしまったものが間違っている薬かなんてもう誰にも分かりませんよね。

 

つまり、その瓶の中の薬を使い切るまで、胃薬を処方された患者さんに解熱剤を飲ませてしまうことになります。

 

このようなことを防ぐため、充填するときには必ず2人以上の薬剤師の目で、瓶の表記と薬の箱の表記と同じかを確認すると決めている薬局が多いです。

 

<水剤のにおいを覚えておく>

 

水剤の場合ですが、調剤後、ボトルの中に正しい薬が入っているかどうかを確認することも過誤防止にはとても大切です。

 

ただ、色の付いた水剤ならば確認も簡単なのですが、水剤の多くは無色透明なので、患者さんにお出しするボトルに入れてしまうと、もう何が入っているのか目で確認することは困難になってしまいます。

 

ではどのように確認したらよいのか――― 目で確認できなければ鼻が頼りです。

 

小児科で使われることが多い水剤は、それぞれ特有のにおいと味がついていますので、そのにおいを覚えておいてボトルの中身確認するという方法をとります。

 

監査の大切さ

 

ここまで、さまざまな過誤を防ぐ工夫を紹介してきましたが、過誤を防げる最大の業務は監査業務です。

 

監査とは、調剤をした薬剤師とは別の薬剤師が、調剤された薬が合っているかどうか、相互作用は大丈夫かなどをダブルチェックをする業務のことを言います。

 

これだけ薬剤師が注意深く調剤をして、薬局でいろいろな工夫もしていても、監査のところで間違えが指摘されることは少なくありません。

 

やはり最終的には、人の目で確認することが一番大切ということだと思います。

 

まとめ

今回は、調剤過誤の種類とそれを防ぐ工夫についてお話してきました。

 

過誤をゼロに近づけるために様々な工夫をしていることや監査業務の重要性などが分かったのではないでしょうか。

 

テクノロジーが発達し、以前よりは調剤過誤を防げるようにはなってきていますが、それでもまだミスが完全に無くなってはいません。

 

たとえどんなに小さなミスでも起こしてしまえば、薬剤師はだれでも大きく落ち込みます。

 

多くの薬剤師が薬剤師を辞めたいと思うのは、やはりミスをしてしまったときだそうです。

 

患者さんのためにも、働く薬剤師のためにも、過誤がゼロになることを願わずにはいられません。

 

 

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