スポーツファーマシストとは?資格・仕事内容・取得方法を薬剤師が解説!
スポーツファーマシストという資格があります。
なんだか横文字でかっこいい名前に聞こえますが、どのような資格なのかはあまり知られていないと思います。
スポーツに関する薬剤師の資格と言われてもあまりイメージできませんよね。
今回は、スポーツファーマシストの資格について、仕事内容や資格の取得方法などを見ていきます。
スポーツファーマシストとは
スポーツファーマシストとは、最新のアンチ・ドーピング規則に関する知識を有すると認められた薬剤師に与えられる資格です。
(公財)日本アンチ・ドーピング機構(JADA)が定めるアンチ・ドーピングに関しての所定の課程を終了した薬剤師の資格を持っている人に認定されます。
もうすぐ東京オリンピックが始まりますが、スポーツ競技をする中で必ず浮上する問題がドーピング問題です。
選手がより良い結果を出したくて薬物に手を出してしまうこともありますし、サプリメントなどを服用して知らない間にドーピングになってしまう場合もありますよね。
ドーピングのせいで、選手生命を絶たれてしまうこともあるほど大きな問題ですので、今、専門家の知識と活動が必要とされています。
スポーツファーマシストは、薬の専門家として、ドーピング問題が起こらないように情報提供をしたり、啓蒙活動したりするのが主な仕事になっています。
スポーツファーマシストの仕事内容とは
スポーツファーマシストの公式ホームページには、スポーツファーマシストの活動内容が詳しく書かれています。
それによると、
・医薬品の適正使用とアンチ・ドーピングに関する情報提供
・学校教育の現場におけるアンチ・ドーピング情報を介した医薬品の使用に関する情報提供
・地域におけるスポーツファーマシストの存在とアンチ・ドーピング活動の周知
・国民体育大会に向けての都道府県選手団への情報提供・啓発活動
が主なファーマシストの業務だそうです。
これだけでは、あまりよく分からないという人も多いと思うので、一つ例を出して説明したいと思います。
私が以前働いていた調剤薬局に、スポーツファーマシストの資格を持った薬剤師がいました。
ある日、彼のところに学校から電話がかかってきました。
内容は、「スポーツ大会に出る生徒がいるから、ドーピングに引っかかってしまう成分がないか調べてほしい。」ということ。
そのとき私は、スポーツファーマシストの仕事を初めて間近で見ました。
ドーピング問題は、オリンピックなどのプロの大会だけでなく、アマチュアの大会においても問題になることです。
スポーツファーマシストの活躍を期待する人が沢山いるんだなとその仕事を見て思いました。
ところで、そのスポーツファーマシストは、「自分がもしドーピングに引っかかるものを見落としてしまったら、その生徒の選手生命に関わる!」とかなり緊張しながら成分を調べていました。
薬剤師も責任を持たなければいけない仕事ですが、スポーツファーマシストもまた大きな責任がのしかかる仕事なのです。
スポーツファーマシストになるには
スポーツファーマシストの資格対象者は、基礎講習会の受講時点で薬剤師の資格を有する人で、年齢は不問です。
公認スポーツファーマシスト認定は、基礎講習会と実務講習の2種類の講習を受講後、知識到達度確認試験を行い、合格した受講者に対し、JADAが認定証を発行するとなっています。
公認スポーツファーマシスト認定プログラムの受講料7,600円です。
基礎講習会は、横浜か京都で行っているので遠方に住む人は、会場の近くに滞在する必要があると思いますので、チェックしておきましょう。
実務講習会は、e―ラーニングで、認定料は21,000円です。
またこの資格は4年間有効で、維持するためには毎年、実務講習(e-ラーニング)を受講することが必要になります。
資格の更新ですが、有効期限中の4年目にあたる年に基礎講習(e-ラーニング)、実務講習(e-ラーニング)を受講し、知識到達度確認試験を受け認定更新を行います。
ちなみに更新料は別途受講料7,600円と認定料21,000円がかかります。
まとめ
今回は、スポーツファーマシストについて詳しく見てきました。
スポーツファーマシストという資格が存在すること、また仕事内容や資格取得の方法について分かったのではないでしょうか。
ドーピングに引っかかる薬についての勉強は、大学ではあまりしない内容なので知らない薬剤師もとても多いです。
しかし、スポーツ界においてはとても重要な知識になるため、勉強をしていて損はないと思います。
今後スポーツファーマシストの活躍の場も増える可能性も高いですので、オリンピックが始まるこの機会にぜひ取得してみてはいかがでしょうか。