薬剤師の退職理由を教えます!
せっかく就職をして一生懸命働いていたけれど、その職場で何らかの壁にぶつかり、仕事を辞めたい、別の職場に転職したいと思った経験のある人は数えきれないほどいると思います。
実際に退職・転職した人、我慢してその仕事を続けている人など、その後の行動は人によって違うと思いますが、困難にぶつかった時に共通して思うのは、「やはりお金を稼ぐということは大変なんだ。」ということですよね。
一方で、国家資格を持って薬局や病院で働いている薬剤師は、外から見れば職場環境も確立されていて自信を持って働いているように見えるので、壁にぶつかることなどあまりないのではと思われがちです。
しかし薬剤師もまた、一般の職業の人と同じように、悩んだり壁にぶつかったりしながら働いています。
もちろん、退職したいと思うことも少なくありません。
今回は、薬剤師の退職理由を挙げ、その対処法を考えてみたいと思います。
Contents
薬剤師の退職理由1:調剤過誤を起こしてしまった
薬剤師が退職したいと思う一番の原因は、調剤過誤を起こした時ではないでしょうか。
その過誤がたとえ小さなもので、過誤による被害がなかったとしても、ミスを起こした薬剤師はその罪悪感と、申し訳のなさで自信を失ってしまうこともめずらしくありません。
その上、上司から責め立てられたり、ミスをなぜ起こしたかのレポートや反省文などを書かなければいけなかったりしますから、こんなことならもう退職してしまいたいと真剣に考えてしまうのです。
小さなミスでも退職を考えるくらいですから、万が一患者さんに健康被害を与えてしまったときには、薬剤師の仕事をもう二度としたくない、してはいけないと思ってしまうだろうということは自然と想像できますよね。
私が調剤薬局で働いていた時の話です。
その薬局は、老人保健施設の処方箋の調剤をしていたのですが、患者さんの名前の漢字が間違っていたり、外用薬の本数が違っていると施設から電話をもらうことがしばしばありました。
「患者さんに健康被害が出ているわけではないので、以後気をつければ済むこと。」と思う人もいると思いますが、調剤薬局ではこのようなミスも大きなミスとして施設への謝罪をすることが通常です。
もし名前を間違えて他の患者さんに服用させてしまったら・・・、外用薬が足りなくて症状が悪化してしまったら・・・などその小さなミスが引き起こす可能性がある大きな問題を考えれば当然のことと言えます。
ただ、「調剤が間違っている。」と電話をもらうたびに私たち薬剤師は全員、心臓が締め付けられるような思いをしていました。
調剤済みでもうファイル済みの分厚い処方箋の束から、ミスをした処方箋を見つけるときの時間や、見つけ出して調剤印の名前が誰になっているのかの発表の直前はもう生きた心地がしませんでした。
そして調剤印に書いてある名前が自分ではなかったとしても、「ああよかった。安心した。」とはなるはずもなく、後味の悪い空気だけが残るのです。
先ほど、「多くの薬剤師はミスを起こした時に退職したいと思う。」と書きましたが、実際に私は、ミスを起こしていなくても、このような精神的に辛い職場から逃げてしまいたいと何度も思ったことがあります。
薬剤師の退職理由2:職場の人間関係がうまく行かない時
退職を考えるきっかけになる一般的な理由のほとんどは人間関係だと思います。
これは薬剤師も同じです。
例1:管理薬剤師との人間関係
管理薬剤師は、調剤薬局の長であり、みんなのまとめ役やお手本になるべきであるのに、残念ながらそうでない場合が往々にしてあります。
自分の好きな仕事だけをし、嫌な仕事を部下に平気で押し付けたり、責任者としても義務を果たさなかったり、それでいて部下の仕事が進まないと機嫌が悪くなったりなどなど、管理薬剤師への不満を、友人の薬剤師たちから私はこれまでに嫌と言うほど聞いてきました。
この記事を読んでいる薬剤師の中にも「私も管理薬剤師との関係に悩んでいます。」という人がかなりいるのではないでしょうか。
管理薬剤師に不満があったとしても、薬局内に管理薬剤師の上司にあたる人はいませんので、それを誰に相談して改善すべきか分かりませんよね。
結局、自分が辞めることでしかこのストレスから解放されないということで、多くの薬剤師は退職と言う道を選ぶのだと思います。
例2:同僚との人間関係
上司でなく同僚との人間関係が良くなくても、人は退職を考えます。
たとえば、先輩が自分のことをなぜか嫌っていて、自分の仕事にいちいち文句を言ってくるとしたらどうでしょうか。
仕事をするたびにストレスが溜まって、仕事どころではないことが想像できますよね。
自分の日常のストレスを人にぶつけることで解消している人が、残念ながら世の中にはいます。
そのような人のターゲットになってしまったらもう不運と思うしかありません。
私の経験談ですが、私のした仕事内容について、ある先輩から数時間、文句を言い続け、挙句の果てに、「また後日話したいからいつか時間を空けておくように」と言われたことがあります。
「これ以上時間を無駄にしてこの人は何をしたいのだろう。」というのが正直な気持ちでした。
自分の身の潔白を示したい気持ちはありましたが、いくら説明をしても言い訳のように受け取られてしまいますし、何よりその人の蛇のような執念深さがとても怖くなり、その職場を離れる決心をしました。
良い人間関係を築くことや良い上司・同僚との出会いは、仕事を長く続けていく上でとても重要だと身に染みた出来事でした。
薬剤師の退職理由3:患者さんから理不尽に怒鳴られた時
前の項目では職場の人間関係の問題を取り上げましたが、この項目は、患者さんつまり病院や薬局のお客様とのトラブルや関係で辞めたいと思ってしまう薬剤師が意外と多いことについてです。
薬剤師の仕事をしている人は良く分かると思いますが、本当に患者さんからよく怒鳴られる仕事だなと思うことがあります。
病院で待ちくたびれた挙句、薬局でも薬を待たなければいけないので、「早くしろ!」と怒鳴りたい気持ちは分からなくはありません。
しかし、薬剤師側も意図的に待ち時間を長くしているわけではないですし、何より患者さんの安全を考えた作業をしていて結果的にお待たせしてしまっているわけなので、理不尽に怒鳴られてしまうとただただ悲しくなってしまいます。
私は、薬の監査の最中に患者さんに、「そんな薬を優雅に眺めている暇があるんだったらさっさと出せ!」と怒鳴られたことがありました。
間違えを見つけなければいけない監査業務中に怒鳴られてしまうと、精神的な影響から正しい監査ができなくなるのではないかとまず不安になりました。
そのような状態で働き続ければ、一生懸命やっても無駄だという思いが強くなり、辞めたくなってしまうのも無理はありませんよね。
薬剤師の退職理由4:お給料が上がらない時
収入が上がらないことから退職・転職を考える人もいます。
自分が一生懸命仕事をしているのだからそれに見合うだけの対価がほしいということもありますし、人生のいろいろなステージを迎えるにあたり、経済的な問題から昇給を望むこともあると思います。
特に病院薬剤師の給料は調剤薬局やドラッグストアで働く薬剤師よりも低めですので、それが原因で転職を考え出す人がかなりいるのではないでしょうか。
また、調剤薬局の薬剤師が、収入を上げるために大手のドラッグストアチェーンの薬局に転職するというのもめずらしいことではありません。
日本では、お金を求めることはタブーとされているようなところがありますが、労働は福祉ではありませんし、収入アップにより仕事へのモチベーションも高まることも事実なので、自分が納得ができる給料を求めてどんどん行動してもらいたいです。
辞めて転職したいときには?
ここまで、薬剤師の退職理由についてお話してきましたが、退職後に抱えてきた問題がトラウマになり、転職をためらってしまう人も中にはいると思います。
一旦つらい経験をしてしまうと、多くの人は、「もしも同じようなことが次の職場で起こったらどうしよう」と不安になってしまいますよね。
その様な場合には、私は転職エージェントの利用をお勧めしたいです。
まず、転職エージェントの担当コンサルタントに、どのような理由で退職を考えていて、次の職場ではそのようなことが起こらないことを期待したい旨をしっかりと伝えてください。
転職エージェントは、収入の交渉はもちろん、雇用先の内部事情なども代行して聞いてくれますから、次の職場の雰囲気などが転職する前にある程度分かることも少なくありません。
たとえば、ミスが怖くなっている人は、バーコードなどを利用してミスを機械的に防いでいる薬局を紹介してくれたりしますし、人間関係で悩んでいる人はどのような人が勤務しているのか事前に教えてくれたりもします。
私も、職場の人間関係で悩んでいた時に転職エージェントに相談をしました。
「この薬局は、経営者もしっかりしている人ですし、いつも話を聞いてくれる人なので、もし問題が起こっても対処してくれると思いますよ。」というアドバイスをもらい、その薬局に転職を決めました。
その調剤薬局で私は、とても良い同僚たちに出会うことができ、今までの職場の中で最高と言える環境に身を置くことができたのです。
毎日働きに行くのがとても楽しく、転職エージェントに本当に感謝しました。
転職エージェントは無料で登録でき、紹介料も無料ですのでぜひ利用して、メリットを感じてみてくださいね。
まとめ
今回は、薬剤師の退職理由とその対処法についてお話してきました。
薬剤師はどの人も同じような悩みを抱えていること、また転職エージェントなどを利用すればある程度その悩みを解決できることが分かったのではないでしょうか。
働いているとストレスを抱えることが多く、先が見えなくなってしまうこともよくありますよね。
人のためになる仕事がしたくて薬剤師になったのに、仕事をしてみたら人どころでなく自分の悩みに押しつぶされそうになっていたということもよくある話だと思います。
今は昔のように、同じ職場に長くいることが評価される時代ではなくなりました。
環境が変われば、リフレッシュすることができ、本来の自分を取り戻して働けるようになることも大いに期待できます。
今、大きな悩みを抱えてどうしたらよいのか分からない薬剤師さんは一度転職を考えてみてもいいと思いますよ。
壁にぶち当たっているのは自分だけではありませんので、どうか元気を出して一歩踏み出してください。